ドンガリンゴP (Kinra) の ひみつきち です。
かってに はいっても いいですけど。

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巡音ルカのための中国語調声メモ(2):2トラック工法

どうも、1~2日に一回のペースで書きたいと言ったけどあれは嘘だ、のドンガリンゴPです。
いや・・・自分の忙しさを甘く見たぜ。長文を書くための〈時間の塊〉がまったく出ませんでしたね。
これ以上約束を破ると罪悪感がハンパないので、
今回は予告通り、私が調声の難点を突破するために、2トラックを合わせたところを紹介していきたいと思います。

◆前提として
単純に子音・母音の数で見れば、英語ライブラリの方が豊富に見えますが、
中国語調声のときは、やはり日本語メインで音を作りたいのです。
理由は以下の2つ:
①日本語の方が入力が直感的
英語は発音記号モードに切り替えないとややこしいから、一括入力(流し込み)は難しい。
②中国語のリズムはどっちかというと日本語寄り。
第0回の記事で、中国語と日本語のリズムの違いについてちょっと紹介しましたが、
音節と音節のスムーズな繋ぎを重視する英語と比べれば、
音をハッキリさせる傾向を共有する中国語と日本語はやはり似たもの同士です。
本当に「どっちかというと」の話ですが。

というわけで、調声するとき、まずは日本語DBのトラック1を作って、大まかな発音を入力して、
それを再生してみて、不自然な発音があったら英語DBのトラック2で補うことを試みる、
というのが私の標準作業手順です。
この調声メモはテクニックの話ですが、
テクとかよりも、「どこが不自然か」を見つけるほうが難しいと思いますので、
トラブルの部分を赤字にして見やすくしました。
解決法のディテールまで読みたくなくても、赤字の部分をざっと読んで、チェックリストとして使うことが出来ます。

◆簡単な組み合わせ
例の曲(相変わらず、exampleの例です)の出だし「每一個傾斜的單擺」。
ピンインで書くと「měi yī ge qīng xié de dān bǎi」と
母音が a と i と e の3種類しかないように見えますが、
「mei」と「xie」の e はどちらも「エ」に近い音で、
「ge」と「de」の e は前回にも言った /ə/ です。

ei と ie は複母音としてそれなりに厄介なのですが、
ルカの [e] と [i] はお互い相性がいい(繋ぎやすい)から、
とにかく e と i の長さの配分さえ上手く決めれば大体OKです。
原則として、どちらも e が色濃いので、全長の半分以上を [e] の方に割り振ったほうがいい。
あと、2つの音で1文字を作るとき、2つ目のアタックを0にしないと2文字に聞こえるので要注意です。

2トラックの出番は、次の /ə/ です。
前回の説明通り、英語DBの [@] で代用できますが、実はもっといろんな方法で作れます。

①日本語DBの [a] のOPEを0にする
なんと、英語DBの補助無しに解決できる。
しかしこれは短い音なら誤魔化せるだけで、長い音だとやっぱり「ア」に聞こえます。
歌唱スタイルによれば(例えばロックっぽく歌い上げるなら)少々「ア」に聞こえても大丈夫ですが。

②英語DBの [@] の巻き舌シッポを切り落とす
これが一番近い音になりますが、DYN調節はちょっと面倒くさい。
短い音なら切り落とさなくても巻き舌は入りませんが、勢いも入りません。

③英語DBの [Q] や [V] のOPEを80ぐらいに下げる
[@] ほど近くは無く、その気になればやっぱり「ア」に聞こえますが、
普通の長さでもかなり説得力があります。
[Q] の方はもっと長い・高い音向きで、短い・低い音なら [V] を使いましょう。
難点は子音の組み合わせによって時々発音が違うところですが、
そういう例外の組み合わせに出会ってしまったら、子音を別のトラックに入れてクロスフェードさせれば解消できる。
その場合はやはり面倒くさいDYN調節になりますが。

掴みが肝心なので、1行目は出来るだけ自然に聞こえるものにしたい。
1行目で「この調声はいける!」と思わせることが出来たら、後はそんなに力を入れなくても通じるはずです。
なので、最初の /ə/ 対策として、私は全部のやり方を試してから、一番効果的な③を選びました。
例えば「個」(ge)の場合は、英語トラックの同じ位置に [g Q] を入れて、OPEを80にしました。

/ə/ を解決したら問題無し、と思ったら、「傾」(qīng)も不自然に聞こえました。
日本語で [tS i N] とルカに歌わせてみたら、
[tS] の発音が微妙に前に出すぎてる上に、[i] と [N] の繋ぎが唐突です。
(あくまでも「中国語に似せるなら」の話で、
 決してルカの日本語発音に文句つけてるワケじゃありませんのでご了承ください)

こういうときは、[tS] の発音位置がやや奥にあって、母音と鼻音の繋ぎもスムーズに出来る英語DBを使いたい。
というわけで、英語トラックに [tS I N] を入れてみます。(英語DBに [i] はありません)
すると結構いい感じになりました。

同じく、最後の「擺」(bǎi)も、普通に [b a][i] を入れてみたら、
どんな配分でも繋ぎがハッキリしすぎました。どうやら音自体が長すぎたようです。
英語DBの方が複母音がスムーズなので、ここは英語トラックに [b aI] を入れました。

◆細かい組み合わせ
日本語トラックから英語トラックに切り替わるとき、繋ぎが唐突になることもありますが、
これは日本語トラックの方が後にもう音が無いから、切り替わる前の音が余計に長くなったせいなので、
日本語トラックにも「まだ音があるよー」って思わせればOKです。
例えばさっき解決した「個」(ge)。
英語トラックに [g Q] を歌わせましたが、実は日本語トラックにもアタック0の [g a] を入れて、
DYNを切って一瞬だけ [g] が聞こえるようにしました。
「擺」(bǎi)の所も、日本語トラックに [b a] だけ入れました(子音以外ミュートされるから)。
当時はクロスフェード感覚でこうしたのですが、いま弄ってみたところ、
この一瞬だけの子音は実に無くても大して変わりませんね。
肝心なのはこの音の存在で前の音がおとなしくなったことです。

前回紹介した /ɨ/ 対策もこのやり方の一種ですが、
母音まで2トラックを融合させるので、
一気にDYNを下げるのではなく、片方のDYNを段々下げてもう片方を段々上げるという
正真正銘のクロスフェード手法を使っています。
/ɨ/ 系の母音以外に、/y/ (「去」 qū などの ū の音)を作るときもこのやり方でした。
英語ルカは、[S u:] と [tS u:] の時だけ、[u:] の発音がこの /y/ に近いものになるので、
これを利用して、日本語DBの [M] と英語DBの [S u:] をクロスフェードさせて、
/y/ 系の音(nū lū jū xū qūの5つがある)を作ることが出来ます。
細かいDYN調節が必要なので、当然面倒くさいですが、ここは仕方がありません。

◆もっと組み合わせ
最後に、例の曲に使った禁断の組み合わせ技を紹介しましょう。

どんなに2つのライブラリの力を合わせても所詮は模倣ですし、
理想の発音より、実際に入力した音の方向へズレてしまうのは明らかです。
例えばさっき紹介した /ə/ の3つの作り方ですが、
その中2つは「ア」寄りの音になります。
しかし、実際の /ə/ はもっと「ア」と「オ」を足して二で割ったような音です。

残念ながら、ボーカロイドはまだ2つの音を足して2で割る機能が実装されていません。
ならどうすればいい?

2で割らないことです。

簡単にいうと、大体のジャンルの曲には入る「ハモリ」というものを利用して、
メインボーカルとハモリが力を合わせて正しい音の錯覚を作る、ということです。
例えば「『ア』と『オ』を足して二で割ったような音」を作りたければ、
一人が「ア」を歌ってもう一人が「オ」を歌えばいい。

実は、こんなことをするだけで、足して二で割ったような音が出るわけではありません。
「ア」の音は元から /ə/ に聞こえる要素があって、それを「オ」でもっと気付かれやすくするだけのことです。
「ア」として聴けばやっぱり「ア」ですが、聞き手が勝手に文脈から判断して、違う音だとわかってくれるのです。
だから元から /ə/ に近い音を作ることが出来れば更に効果的です。
例の曲は、ハモリが許される限り、/ə/ は必ず2種類の作り方をそれぞれメインとハモリに使います。
元から2トラックが必要な音作りなら、合計4トラックを使うことになります。
実際、例の曲は合計6トラックを使いました。

このやり方のどこが禁断かというとまあ、ご想像の通り、
ハモリが許されなければ使えないということです。
ハモリがあったらおかしいところに、このやり方のためにハモリを入れたら本末転倒です。
あと、ハモリだけのカラオケバージョンを作ったらバレます。(ハモリ自体が2人以上なら問題ないけど)

大したテクニックは紹介しませんでしたが、
トラブルを見つけて、使える手をどんどん探索する原則と、
「どんな音を作るか」より「どんな音だと思わせることができるか」という心構えを
伝えることができたらと思います。

次回があれば、もっとメモっぽく、まとまりの無い文章になりますので、ご期待なさらぬように。ではでは。
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  1. 2013/01/16(水) 16:20:13|
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通称ドンガリンゴP。でも好きなものはリンゴじゃなくて、言語です。今は訳者として毎日いろんな言語と戯れてます。そして極たまに、曲を作ったりもします。
Twitter: lwanvonling

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