ドンガリンゴP (Kinra) の ひみつきち です。
かってに はいっても いいですけど。

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Roamer with the Bell(4):Avannaによる英語調声

どうも、
前回、面倒くさがってPlurkのログを直接翻訳して垂れ流したけど
さすがにそれは無責任すぎたなって反省したドンガリンゴPです。

というわけで今回は、Avannaで「Roamer with the Bell」の調声をした感想を、
ちゃんとした文章で語りたいと思います。やっぱりPlurkログを参考に(覚えてないもん)。

◆まずは「発音の基準」のこと

自分は歌が上手い方ではないが言語学者の端くれ(だった者)なので、
調声するときはあまり歌い方を気にせず、発音を完璧に仕上げることに専念している。
「Roamer with the Bell」という曲も、田舎の森の出会いという素朴な設定なので、
華やかな歌い方などをせず、
ちゃんと真摯に発音させて、聴き手に何の話なのかわからせれば十分だと考えた。

前回述べた通り、田舎の話なので、方言に調声しようというつもりで、
スコットランド訛りや、モンティパイソンがよく演じるようなコックニー英語を参考にしたけど、
そんなに詳しくはないし、歌詞にも方言の語彙を殆ど入れなかったので、
最終的には普通の女王陛下の英語にしました。

◆そしてその基準を満たすには

VOCALOIDエディターの英語システムは、基本的にアメリカ英語を前提に作られていて、そして少しの間違いが入っている。
音源ごとに固有の辞書は無く、どの英語ライブラリを使っても、
VOCALOID Editorで音符に同じ英単語を入力すれば、同じ発音に変換される。
なので、中がアイルランド人のAvannaを使っても、アイリッシュ訛りにはならないし、
[l0 I v] と発音する場合もある live はいつ入力しても [l0 aI v] にしかならないし、
普通 [V][g e n] と読む again を入力したら、一部のイギリス方言しか言わない [V] [g eI n] になってしまうという誤りは
VOCALOID4になっても直らないのである。
(History も普通は [h I s][t r i:] の2音節と読むのに入力したら [h I s][t @r][i:] の3音節に変換されるけど、
実際に3音節と読む人はそれなりにいるっぽいので大目に見よう)


というわけで、イギリス英語を調声するときは、様々なところで手動で入力しなおさなければならない。
例えば、語尾の -r は巻き舌にならないので、@ が絡んでる発音記号は基本的に避けるべきである。
「Roamer with the Bell」の roamer とか。
歌詞の最初に出た path という単語も、アメリカ英語では [p { T] だけど、イギリス英語では [p Q T] と発音する。
全部把握する自信の無い私は、歌詞に出てくる全ての単語を逐一オクスフォード英語辞典で発音を確認していた。

当たり前だが、想定されていない訛りに調声するには限界がある。
イギリス英語の O の微妙な発音とか、いくら弄っても似てないときは似てない。
アイルランド人をサンプルしたDBなのにアイリッシュ訛り特有の発音が出ないという悲しい事態も避けられない。
そこは誤魔化さずに、「ここは無理だったけど他のところは頑張ったよ」と開き直って、自信満々な歌声を聴かせましょう
特に子音は、ボーカロイドの性質上人間のような曖昧な滑舌は出来ないので、
一つ一つクッキリ唄わせないと、人間の耳には「言葉になっていない」状態になりがちです。
これは、「誤った発音をした」よりも悪い。

◆特に方言を目指すわけじゃなくても注意すべき点

それは単語の頭の子音クラスタというものです。
具体的な例を挙げると、place の pl- とか、travel の tr- とか。 Quest の que- でも入ります(/kw/なので)。
そのまま入力すると、子音が短すぎて聞き取れないので、こういう時は必ず2音に分ける
Place の場合は、デフォルトの [ph l eI s] の代わりに [ph U] [l eI s] と入力すると、
/l/ の位置が調節できるようになるので、滑舌を良くすることが簡単になる。
Stranger のような子音が3つ連続の場合は、3音に分けるというのもありえる。
・・・基本中の基本なので、どこの英語調声チュートリアルでも同じこと言ってるかもしれませんけど。

イギリス英語に調声するって決めたときは、/tr/ の発音はどうするか、って迷いました。
自分は7年間、スコットランド出身の Craig Ferguson 氏が司会を務める The Late Late Show
(初音ミクが出演したことのある The Late Show の後に来る番組)を観ていたので、
/tr/ をそのまま /t/ + /r/ と発音するスコットランド訛りには馴染んでいる。
「Roamer with the Bell」もそのためにスコットランド訛りにするつもりだったが、
標準イギリス英語にすることにした後、/tr/ の発音を調べてみたら、普通にアメリカ英語と同じく、
/t/ が /r/ に同化されて [tʃr] みたいな音になる(ボカロ語で言うと [tS r])ことがわかった。
絶対 /t/ + /r/ のほうが雰囲気出るのに・・・と思ったけど、そんな勝手なイメージはやっぱやめたほうがいいよね。

◆ちなみに今回はトークロイドもありますが・・・

むかし、Avannaによる中国語(+台湾語)調声の時に、
PITを弄る必要は無いと言っていましたが、それはあくまでも中国語の話でした。
英語は中国語と違って、音節毎に固有の声調が無い分、音の高さが中国語以上に自由に、そして微妙に動きまくる。
半音未満の音程調声は必須となるので、PITを大幅に弄ることになる。
予想以上に大胆なピッチ移動を使う時もあるけど、基本的には半音以内の微妙なPIT調整が効果的。
(ニコニコ動画で見かけるトークロイドは総じて誇張しすぎる傾向がある)

とわかっていても、私のトークロイド調声法は即ち「脳内再生を耳コピー」なので、
残念なことに、語れる実用性のあるコツは無いに等しい。

◆最後は少しだけ、Avanna専用の発見を

ニコニコ動画で「Avannaオリジナル曲」タグを検索すると、
再生数順で並べても私のAvanna曲が全部1ページ目に来るので、
正直コツを書いても参考にするAvannaユーザーはそんなに存在しない気がしますが、とりあえず。

・Avannaの [@] は巻き舌強くないのでイギリス英語調声では普通に [@r] の代わりにできる。
・逆に [Q] はいかにも巻き舌しそうな雰囲気を出してて、ウェストカントリー訛り(映画の海賊みたいな訛り)なら作りやすいかも
・高音になると [dh] がボヤけちゃうけど、d の音は [th] で代用してもいい。ただしVELは高くする
・[l] と [l0] は後の母音を変える。[l e] の [e] はシュワー([ə])っぽくって、[l0 e] の [e] は普通の「え」っぽい
・of の正確な発音は [V v] だが、Avannaの [v] は不鮮明なので [f] で代用するときがある
公式サイトからAvannaの異様にドラマチックなブレス音をダウンロードできますけど、急な息継ぎなら [Asp][h][Asp] でも作れる

あとこれ

・巡音ルカV4Xの英語にはStraightとSoftの二種類があるけど、EQが違うだけで発音はまったく同じでした
あの・・・EQなら自分でできますけど・・・

◆結局英語ルカへの愚痴かよ

はいすまねっす。

でも次回はいよいよ、ミキシングの話をしますよ。
50トラックもあるこの曲のミキシングは、大変なことでした。あー、思い出すだけでもメンドくさー。
では、ご期待薄めにお待ちくださいっと。
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  1. 2015/08/15(土) 01:04:28|
  2. さくひん
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Kinra

Kinra
通称ドンガリンゴP。でも好きなものはリンゴじゃなくて、言語です。今は訳者として毎日いろんな言語と戯れてます。そして極たまに、曲を作ったりもします。
Twitter: lwanvonling

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